コレステロールは心筋梗塞の犯人ではない!?じゃあ、予防にはどうすればいいの?油?〜追加情報No.16

久しぶりにコレステロールについて更新します。

「コレステロールが、実は、動脈硬化などによる心臓脳血管疾患の犯人ではない」

ということは分かりました。

えっ、どういうこと?と思われた方は下記を参照してくださいね。
◉コレステロールは動脈硬化の原因じゃなかった!〜コレステロールって下げたほうがいいの?No.12

「コレステロールが高いこと」が問題ではなく、「血管の炎症」が問題と分かってきており、その真犯人探しの研究が現在行なわれています。

じゃあ、私たちは、心筋梗塞、動脈硬化の予防としては、何をどうすればいいのか?

ということで、日本脂質栄養学会の「長寿のためのコレステロールガイドライン2010」の中で、紹介されている重要な対策を紹介します。

「長寿のためのコレステロールガイドライン2010」は、第Ⅰ章〜第ⅩⅣ章までありますが、その中から対策に関するものを抜粋します。

第II章 “高リノール酸植物油の摂取を増やし動物性脂肪とコレステロール の摂取を減らす”という従来の栄養指導は、むしろ心疾患、癌などを増やす 危険性が極めて高く、これを勧めない

1970年代にリノール酸が動物性脂肪と比べ、血中のコレステロールを下げるという研究発表があってから、「バターなどの動物性脂肪とコレステロールを控えて、リノール酸の多い植物油を増やそう」という食事指導が広く行なわれてきました。
ところが、近年の研究で、この食事指導を長期に続けるとむしろ心臓病やがんなどが増えることが分かってきました。近年と言っても、もう10数年前から言われています。これは、リノール酸を増やしたことが原因だと考えられています。

にもかかわらず、未だ多くの人は、なんとなく健康に良さそうというイメージで、紅花油やコーン油、大豆油などの植物油を積極的に使い続けているのではないでしょうか。また、これらの油は安価ということもあり、加工食品やお惣菜、お菓子類などにも多く使用されているため、普通に生活していると知らず知らずリノール酸(ω6)摂取過剰になってしまいます。

第VIII章 動脈硬化性疾患およびその他の炎症性疾患を予防するためには、ω 6 系脂肪酸の摂取量を減らしω3 系脂肪酸の摂取を増やすことを勧める

ここで、ω6脂肪酸、ω3脂肪酸とは何でしょう。
人間は、体内で作ることが出来ず食事から摂らなければならない脂肪酸(油)が有ります。それがω6(リノール酸)とω3(リノレン酸)で、必須脂肪酸とよばれています。

この2つは細胞膜の原料になる欠かせない脂肪酸ですが、健康な細胞膜を作るためにはその比率が重要です。理想はω6:ω3=4:1くらい。
ところが、近年私たち特に日本人を取り巻く食品にはω6を含む食品が溢れており、ω6が過剰になっています。ω6:ω3=(10〜40):1 という状態です。

そのことが、アレルギー疾患、炎症性疾患、がん、心臓脳血管病、鬱病などの心の病気などの原因となっていることが分かってきました。
そうです、先ほどのリノール酸も摂らねばならない大切な脂肪酸ですが、過剰になっているのです。

では、ω6やω3はどんな物に含まれているのか?

ω6脂肪酸(リノール酸)・・・大豆油、コーン油、ひまわり油、紅花油(サフラワー油)など。

ω3脂肪酸(リノレン酸)・・・亜麻仁油(フラックスオイル)、シソ油、エゴマ油、魚油など。

家族性高コレステロール血症の人はどうすればよいのか?

第IX章 家族性高コレステロール血症(FT)などの先天性遺伝因子をもつ人に 勧める脂質栄養
FH など先天性遺伝因子を安全になおす手段は確立されておらず、残念ながら非 FH に比べて平均寿命は多少短い。しかし、FH でも一般人の平均寿 命以上に生きる人は多く、また、LDL-C 値の高い人は感染症に抵抗性が高い という基礎研究もある。スタチンなど薬物により LDL-C を低下させても心 疾患予防には結びつかなかったが、これら先天性遺伝因子をもつ人にも“ω3 系脂肪酸の摂取を増やしω6 系脂肪酸の摂取を減らす”という食事療法(第 VIII章)が勧められる。

家族性高コレステロール血症(FT)という先天的にコレステロールが高い人々も、スタチン系の薬剤でコレステロールを抑えても心疾患が減らせないことが分かってきています。そういう方達こそ、まずω6とω3の比を是正して、細胞膜を健康にすることは、大切なんですね。

つまり・・・

第XI章 わが国の食環境でみられる植物油脂の供給増の方向は危険で ある。動物に有害作用を示す植物油脂の代わりに動物性脂肪を肥満にならない程度に摂取すること、またそれを可能とする食環境作りを勧める
現在供給されている植物油脂の 9 割以上は、リノール酸/α-リノレン酸比 が大きいか、あるいは実験動物に有害な作用(腎障害、出血傾向あるいは発 癌促進など)を示し、人での安全性は確立していない。これに対し、動物性 脂肪(飽和脂肪酸)あるいはコレステロールは長期的には TC 値を上げず、炎症性メディエーターの産生過剰への影響は少なく、上述の有害作用を示さない。肥満にならない範囲で、動物性脂肪やコレステロールの安全性を強調できる。

つまり、市場に出回っている植物性油(ω6)を摂るよりも、今まで良くないと言われてきたバターなどの動物性脂肪を肥満にならない程度に適度に摂る方が、体にとっては安全ということです。そして、可能な限り、ω6の摂取を減らしつつ、ω3を増やすことがより良い健康的食生活ということですね。

参考図書など

⑴日本脂質栄養学会.長寿のためのコレステロールガイドライン2010

⑵奥山治美、國枝英子、他:「油の正しい選び方・摂り方」.農文協,2008年

⑶奥山治美:Ⅲ章動脈硬化のコレステロール仮説(神話)の崩壊ーωバランスが鍵.脂質栄養学の新方向とトピック金城学院大学オープン・リサーチ・センター(参照2016-01-13)

次回、油の種類や摂取の仕方などについて、具体的に分かりやすくお話しします!

つづく〜。

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この記事を書いた人

なおこ

なおこ

京都市内在住の薬剤師です。
仕事の中での気づき、想うこと、服薬ケア研究会での深い学び、糖質制限食などの食に関する学びや私なりの知見を発信しています。
好奇心旺盛、学ぶことが大好きなので、その他にもいろんなテーマで誰かのお役に立てそうな情報も発信中。