ブックレビュー「江部康二の糖質制限革命」2〜日本人全員が糖質制限食を習慣に!

前回は、こちら

「第1章正しい糖質制限食が医療費を削減する」

著者が初めて「糖質制限食」を日本に紹介したのは、2005年の「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」という著書の出版で、12年も前のことなんですね。
当時は異端視されていたようですが、糖質制限食は今ではかなり日本でも浸透してきてますね。
第6章であらためて紹介しますが、今では糖質制限の有効性と安全性は証明され、アメリカの糖尿病学会が2013年に発表したガイドラインの中でも、糖質制限食は糖尿病の食事療法の1つとして正式に認められています。

著者はこの章で、糖質制限食によって将来的にどれくらいの医療費が削減できるか展望しています。

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まず、糖尿病だけに限って考えると、
糖質制限食は基本的に、薬剤を使わないで血糖値を下げるため、薬剤費が激減。実際に著者は、ご自身の病院で糖尿病患者さんに糖質制限食を導入していますが、導入する前に比べて、薬剤使用量も費用も約三分の一になっているそうです。

また、糖尿病の三大合併症と言われているのは、腎症(透析)、網膜症(失明)、神経障害(足の切断)ですが、糖質制限食を実践することで、これらの合併症も予防できます。現在,これらの糖尿病関連の医療費の総額は、日本生活習慣病予防協会によると、年間1兆2000億円になるそうです。
もしも、糖尿病になる前の日本人がすべて糖質制限食を実践すると、1型糖尿病の人もいるので、ゼロにはならないけれど、おそらく日本から生活習慣病である2型糖尿病はほとんどなくなるので、その1兆円を超える糖尿病関連の医療費がほとんど要らなくなります。

次に、糖質制限食はこの糖尿病だけでなく、メタボ、肥満、肥満と関わりが深い高血圧、脂質異常症なども予防が期待できます。他にも、がん、アルツハイマー病、アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患、さらには潰瘍性大腸炎のような難病まで、糖質制限食は治療と予防効果を発揮します。
それらによる医療費削減は、どれほどの金額になるでしょう。
詳細は省きますが、
現在、1年間に生活習慣病の治療にかかっている医療費は、日本生活習慣病予防協会によると、がん、脳梗塞、虚血性心疾患、高血圧で約5兆円かかっているそうです。
もしも、日本全体に糖質制限食の習慣が定着すれば、これらの生活習慣病のすべてが激減し、仮に一律に半減したとすると、約2.5兆円の削減です。先ほどの糖尿病関連の医療費削減1兆円も加えると、糖質制限食による医療費削減の総額は約3兆5000億円となります!
凄いことですね。実現したいですね。

実際に、医療現場である、著者の勤める京都の高雄病院では、糖尿病については薬剤の必要量が先程述べたように三分の一になっており、糖質制限食を指導することで血圧も下がるケースが非常に多く、高血圧の薬剤使用量もかつての三分の一くらいになっているとのことです。

著者は、日本人全員が糖質制限食を習慣とするのを夢見ています。私も願ってます。みんなでやりましょう!

次は第2章です。

江部康二の糖質制限革命―医療、健康、食、そして社会のパラダイムシフト
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つづく

この記事を書いた人

なおこ

京都市内在住の薬剤師です。
仕事の中での気づき、想うこと、服薬ケア研究会での深い学び、糖質制限食などの食に関する学びや私なりの知見を発信しています。
好奇心旺盛、学ぶことが大好きなので、その他にもいろんなテーマで誰かのお役に立てそうな情報も発信中。