ガスター20を1日4錠も飲んでいたおじいちゃん。

今日は、こんな患者さんがいらっしゃいました。

そのおじいちゃんは、ガスターという胃酸を抑える薬1つだけが載った処方せんを持ってこられました。1日2回飲んで60日分です。(テレビでもガスターテン!と宣伝されてますね、市販薬としても売ってます)

お薬をお渡しする前に、電子薬歴(医師のカルテのようなものです)で、過去の処方と過去にどんな話をしてどんな指導をしたのかをチェックしました。

あれっ、かなり以前からガスターだけもらわれているのですが、毎月受診されているのに、毎回60日分ずつもらっています。
おかしい。たくさん余っている?それとも1日に倍飲んでる?

それと、あまりお話をしてくれない患者さんらしく、情報がほとんど得られてません。前回も、飲み過ぎていませんかとお話しているようですがそれに答えずに、薬だけもらってさっさと帰られた様子。

「薬の説明書きも袋も領収書も薬を留める輪ゴムも一切不要。」とコメントがメモされています。かなりこだわりのある方のようです。

どう応対しようかとしばし考えて、
ちょっと乱暴でしたが、「いつものお薬ですね。あの・・無いものが見えるとかそんなことはないですよね?このお薬は高齢者の方で、まれにですが、幻覚が見える副作用が出ることがあるんです。それで認知症に間違えられて認知症のお薬が出てしまうこともあります。万が一そんな症状があったら、この副作用のこと思い出してくださいね。」とお話ししました。そしたら、「そんなことは知らなかった。他に胃薬ってあるの?このお医者さんに行って胃薬くれって言ったら、これしか出してくれないよ。」と。
で、いろいろとお話ししてくれて、「1日2回では、胸焼けが治まらず、横になると特にゲップが出て気持ちが悪いから寝る前にも飲んだりして・・・1日4回飲むこともある」ということがわかりました。

まず、この薬は腎機能が悪い人は薬が効きすぎる恐れがあるので飲む量を減らさないといけない薬で、高齢者は自然と腎機能は落ちてくるので、飲む量は少なめがいいこと、1日4個も飲むと副作用が出る可能性が高くなることを伝えました。

あともう一点、ガスターでは効果が弱いようなので、こんなときはもう1つ強いタイプの薬が通常使われることもお話ししました。
どう考えても、この場合、PPI製剤というワンランク上の薬の適応なんです。

で、患者さんも希望されたので、医師に電話で疑義照会することにしました。
医師にお話ししたところ、「この患者さんの場合、PPI 製剤の適応だとは思ったんだけど、理解力に問題があるようで、1日2回しか飲まないように言っても全然訊かないし、PPI製剤を出してもまた1日何度も飲むだろうし、仕方なかった。血液検査も胃の検査も拒否して薬だけを出してる状態なので、今回はそのままで。次回直接よく話をしてみて、出します。」とのことで、今回は変更はしていただけませんでした。でも、確かに一度よく先生とも意思疎通した方が良さそうです。

「分かった、分かった。この次、先生に話してみるよ」と帰っていかれました。
「もう、2回以上は飲まないでくださいね。効かないときは、早めに受診してください」と念押ししました。

うーん、お話しした限りでは理解力はありそうでしたが、頑固で聞く耳持たないところもあるのかもしれません。
それにしても、こんなに長いこと何故こんなことになってしまったのか・・・
今まで副作用が何も起こらず、良かったです。

この記事を書いた人

なおこ

なおこ

京都市内在住の薬剤師です。
仕事の中での気づき、想うこと、服薬ケア研究会での深い学び、糖質制限食などの食に関する学びや私なりの知見を発信しています。
好奇心旺盛、学ぶことが大好きなので、その他にもいろんなテーマで誰かのお役に立てそうな情報も発信中。