ブックレビュー「江部康二の糖質制限革命」6〜がんへの効果〜

「第3章 がん、心疾患、肺炎、脳血管疾患の予防効果」

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まだまだ、糖質制限食の効果が続きます。
日本の四大死因(がん、心疾患、肺炎、脳血管疾患)への効果です。

今日はまず、死因第1位の

「がん」への予防効果について。

がんには、大きく2つのタイプがあります。
感染症型と生活習慣病型。

「感染症型」・・・胃がん、肝がん、子宮頚がんなど
「生活習慣病型」・・・腎臓がん、膵臓がん、食道がん、子宮体がん、胆嚢がん、大腸がん、乳がんの7つには肥満が関わっており、肥満は生活習慣に起因しているので生活習慣病型のがんと呼ばれます。(by 世界がん研究基金)

このうちの生活習慣病型のがんについて、元凶として疑われているのが、肥満高血糖高インスリン血症で、高血糖、高インスリン血症に発がん性があることは非常に信頼性の高い研究で明らかになっています。
糖質制限食は、これら肥満、高血糖、高インスリン血症の全てを改善するので、その予防効果がおおいに期待できます。ただ、まだ研究途上のため、明確な科学的証明は結果待ちの状態です。

その上、予防効果だけでなく、治療効果も期待されています。
実は、がん細胞はブドウ糖しかエネルギーとして使えないことが分かっています。
人体のほとんどの細胞は、ブトウ糖だけでなく、脂肪を分解してできるケトン体もエネルギーとして使っています。
なので、糖質制限食を実行すると、血中のブドウ糖の量が減り、がん細胞にとってはいわば兵糧攻めになり、増殖を抑える可能性がでてきます。実際に、がんが縮小したという例もいくつか発表されています。
もともと、このケトン食(スーパー糖質制限食をもう少しより厳しくした食事と思われます)は、以前から難治性てんかんのこどもに用いられている治療食ですが、現在、ケトン食のがんに対する治療効果に対する研究が進められており、2017年7月に中間報告、2019年7月に最終報告の予定です。

江部康二の糖質制限革命―医療、健康、食、そして社会のパラダイムシフト
東洋経済新報社 (2017-04-07)
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つづく。

この記事を書いた人

なおこ

京都市内在住の薬剤師です。
仕事の中での気づき、想うこと、服薬ケア研究会での深い学び、糖質制限食などの食に関する学びや私なりの知見を発信しています。
好奇心旺盛、学ぶことが大好きなので、その他にもいろんなテーマで誰かのお役に立てそうな情報も発信中。