前回はこちら。
第4章栄養常識の変化のつづきです。
糖質は必須栄養素ではない
必須栄養素とは、人にとって欠かすことのできない物質なのに自分の身体では作ることができないものを指します。必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維です。これらの栄養素は、必ず食べ物から補給しないと病気になります。
糖質を減らすと病気になると思い込んでいる人がいますが、完全な誤解です。
確かに人にとってブドウ糖(糖質)は最低限の量は必要です。唯一赤血球は、ブドウ糖しかエネルギーとして使えないので、血液中にブドウ糖がないと赤血球が働けず人は死にます。けれどブドウ糖は糖質でとらなくても、タンパク質や脂質を食べていれば十分な量が確保できます。人には糖新生という機能があり、アミノ酸や乳酸などからブドウ糖を作り出すことができるのです。この糖新生という機能は、非常に能力が高く、食事による補給が全くなくても、必要なブドウ糖に不足を起こすことはあり得ません。
つまり「食事で摂取すべき糖質の必要最少量はゼロ」
これは世界中の栄養学者にとって常識であり、糖質が減ると病気になるという心配は全くありません。
日本の栄養学の現状
日本では栄養学の地位が低いのか、医学部の教育においても栄養学の単位は無いに等しく、栄養士の教育内容は数十年ほとんど変わっておらず、新しく解明された科学的な事実はほとんど教えられていません。日本では、栄養学のレベルが病院によってバラバラだという現状があります。現場の栄養士さんがよく勉強していればレベルが高く、不勉強だと間違いが多いという具合にあくまでも個人の努力に頼っている状態です。
欧米では、栄養学の地位はもっと高く、きちんとした科学として扱われています。欧米の医学部において栄養学は必修とされており、人間栄養学を医学教育の一環として必ず学んでいます。
「血糖値を直接上げるのは糖質だけで、タンパク質と脂質は直接上昇させない」
「脳はブドウ糖だけでなくケトン体も利用する」
こうしたごく基本的な生理学的な知識を、日本の医師や看護師、栄養士(ここに薬剤師の単語が入りもしないことが残念です^^;)のほとんどが持っていない現状を見るにつけ、早く日本の医学会も人間栄養学の重要性を認識して、医学教育に取り入れるべきだと思わずにいられません。
次回は第5章です。こちら。
第6章まであと少し。