今日の患者さんは、ザクラスLDという血圧の薬とセレコックスという痛み止めをもらわれてるおじいちゃんでした。
お薬をお渡しする前に、いつものように電子薬歴(医師のカルテのようなものです)で、過去の処方と、どんな話をしてどんな指導をしたのかを確認しました。前回の記事では、血圧が110台しかなく、低くないかなと心配されている感じでした。
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そこで、あらためてお話を伺うと、もともと薬はまったく飲んでなくて、2〜3年前にあることがあって血圧が上がりだして一時的に血圧の薬を飲んでいたが「あなたの場合は一時的なものだから、そろそろ止めよう。」と中止になった。(良い先生ですね)でもまた半年前から、違う先生に変わって、薬が出て飲み始めたということが分かりました。途中から「いい薬が出たから」と今の薬が出されたそうです。
その患者さんは、毎日きちんと血圧を測って、血圧手帳に記録されていました。見せていただくと、ずっとだいたい110台で、たまーに120台前半になったり100台に下がったり。で、低すぎではないかな、薬を減らせないかなと悩まれていました。
高血圧と腰の痛み以外は何もないとのことでした。
特に、ボーッとする、めまいがするなどの症状はない様子。
ザクラスLDは2種類の血圧の薬が一緒になった合剤です。
高血圧以外に他に何の疾患もないので、たしかに110台というのは下げ過ぎの害の方が心配だと私は考えます。薬を中止しても良いくらいではと考えましたが・・・
そこで、「確かに、せめて120〜130くらいはあった方がいいという報告も多いようです。先生に血圧が低くて心配していること、そして薬はできるだけ飲みたくないこと、薬を減らして様子をみたいという希望を伝えてみてください」とお話ししました。分かったと帰っていかれましたが、果たして、次回ご自分で言えるかなあ・・・。
ちなみに、
2014年の高血圧治療ガイドラインでも、前期高齢者(65〜74歳)の血圧目標は140/90未満、後期高齢者(75歳以上)の血圧の目標は150/90未満と基準が少し高めにかわりました。下げ過ぎの害の研究報告が多数出てきたからです。
また、血圧を薬で下げた場合、下げなかった場合と比べて自立度(自分の身の回りのことができる)が悪くなるという研究もあります。ただし180以上あるときは、薬で少し下げた方が自立度は良くなるようです。
また、120未満では心血管事故が増加するという研究、血圧が下がるほど心疾患関係の死亡率は下がるものの総死亡率は高くなるという研究結果が多数有ります。血圧が低ければ低いほどよいというエビデンスはないので要注意です。
参考資料:「薬のチェックは命のチェック」No.38高血圧とくすり
「薬のチェックは命のチェック」No.39高血圧とくすりパート2
「薬のチェックは命のチェック」について、詳しくは前の記事を参考にしてください。
つづく。