食事の内容で体内のコレステロール値は変わらない!〜コレステロールは悪者ではない No.14

14.最新情報:食べたモノで体内のコレステロール値は変わらない!!

厚生労働省は今年4月改訂(5年に1回改訂)の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で、食事からのコレステロールの摂取基準を撤廃しました。(これまで成人は男750ミリグラム、女600ミリグラムを上限としていた)その理由として「科学的根拠が得られなかった」と説明。「食事からのコレステロールは一部に過ぎず、食事から多く取れば、体内で作る量を減らすなどの調整する仕組みがある」と解説。

これって、もうずいぶん以前から分かっていたのでは?と思いますが・・・。

そして、これを容認した形で、日本動脈硬化学会も2015/5/1に「食事で体内のコレステロール値は大きく変わらない」との声明を発表。

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米国も2月に「コレステロールは過剰摂取を懸念すべき栄養素ではない」として、摂取量を1日300ミリグラム未満に抑えていた食事指針を今年見直す方向で、英国の医学雑誌にも2月、「食事指導を実行してもしなくても心筋梗塞などによる死亡率は変わらない」とする研究結果が発表されたようなので、それに合わせたのでしょうか。今回はそんなにタイムラグが無かったということですね。

ただ、日本脂質栄養学会は、「長寿のためのコレステロール ガイドライン(2010年版)」で当初から「コレステロール摂取量を増やしても血清コレステロール(TC)値は 上がらない」と主張していました。

コレステロールの摂取を増やすと短期的(週単位)には血清TC値は上がるが、長期的には上がらない。習慣的にコレステロールを多く含む食品の摂取が多い群は少ない群より、血清 TC 値は低めである。

つまり、卵を毎日2個食べだすと1週間後の測定では確かにコレステロール値は上がるのですが、1ヶ月後はかなり差は縮まり、ずっとその食生活を続ければ長期的には差はなくなって元に戻ることが実験でも報告されています。むしろ卵を2個食べ続ける人のほうがコレステロール値は低くなったりもするようです。

今回のことは、やっと、日本脂質栄養学会の主張の一部を認めた形ですね。

これまで、卵は1日1個まで!と制限されて、イクラ、エビ、鶏レバー、バターなどを我慢していた方には朗報ですね!今までは何だったの?って感じですが。
ただ、現在、コレステロール値がかなり高い方で、しかも血管の炎症があることが予想される方は、極端な食べ方は 勧められないことはもちろんですね。

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「コレステロールって下げたほうがいいの?」を15回にわたってお届けしました。
おつきあいくださって本当にありがとうございました。

また、今後も「血管の炎症をおこさないためには」「低コレステロールと肝がん」などいくつか追加情報を改めてアップしたいと思っています。よろしくお願いします。

つづく

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この記事を書いた人

なおこ

京都市内在住の薬剤師です。
仕事の中での気づき、想うこと、服薬ケア研究会での深い学び、糖質制限食などの食に関する学びや私なりの知見を発信しています。
好奇心旺盛、学ぶことが大好きなので、その他にもいろんなテーマで誰かのお役に立てそうな情報も発信中。