ブックレビュー「江部康二の糖質制限革命」4〜その効果とは〜

第2章のつづきです。前の記事はこちら

「糖質制限のさまざまな効果」について、まとめです。

糖尿病への効果

◯血糖値が速やかに下がる。食後血糖値は開始直後から下がり、1週間ほどで正常値になる。
◯空腹時の血糖値も数週間で下がる。

◯2型糖尿病なら、過半数の人で薬は不要になる。⇒これは、夫の場合もそうでした。
◯インスリン注射をしている人も1〜2割の人は薬が不要になる。
◯1型糖尿病でもインスリン注射の量を減らせるので、低血糖を起こしにくくなる。
◯肥満しているとインスリンの働きが悪くなり、血糖値が高くなることがよくあるが、糖質制限で体重も落とせるので、肥満を解消し、インスリンの働きが良くなり、糖尿病が改善する。
◯食後高血糖が血管を傷つけることで、「失明」や「腎臓がだめになって透析」や「足が壊疽を起こして切断」などの合併症が起きるが、糖質制限食なら高血糖が起きることがないので、血管が傷つきにくく合併症が予防できる。

肥満への効果

◯「ダイレクト試験」2008年
糖質制限食(カロリー制限なし)と低脂肪食(カロリー制限)と地中海食(カロリー制限)とを比較したところ、糖質制限食(カロリー制限なし)が最も体重減少効果が高かった。同様の結果が他にも世界的に権威のある医学専門誌に発表された複数の研究で証明されている。

認知症の予防効果

◯アルツハイマー病は高血糖と高インスリン血症により起こりやすいことがいくつもの研究で示されている。
(九州大学の久山町研究では、15年の調査の結果、糖尿病や糖尿病予備軍の人はアルツハイマー病を発症リスクが2.1倍高いなど)
糖尿病で糖質制限食を実践した人がどのくらいアルツハイマー病になるリスクが低くなるかのエビデンスとなる研究結果は、まだ出ていないが、十分予防効果が期待できる可能性は高い。

偏頭痛や逆流性食道炎などの改善

(著者の治療現場高尾病院での実績)
◯逆流性食道炎 ほぼ全員で胸焼けの症状が消えた
◯偏頭痛 ほぼ100%の例で劇的な改善があった
◯潰瘍性大腸炎 まだ3例に過ぎないがステロイド剤が中止できるなど劇的改善

花粉症(高尾病院での実績)

◯症状がぼぼ消えた人が過半数。半減した人は3〜4割。ただしほとんど変わらない人もいて、1〜2割。

アトピー性皮膚炎

◯改善した人多数。
◯なぜ糖質制限食がアレルギーに効くのかははっきりしていない。
ただ、実際に20世紀初頭まで糖質制限食的な食事を伝統的に続けていたイヌイットにはアレルギー疾患がほとんどなかった。

整形外科の腰・膝の痛み(肥満の解消から)

◯肥満の解消が膝や腰への負担を減らすことから、整形外科の医師が糖質制限食を勧めることが増えている。高齢者には「腰部脊柱管狭窄症」で足の痛みや痺れが起こってる人が多いが、実際、腰部脊柱管狭窄症で手術を勧められていた人が糖質制限食を実行したところ肥満が解消し、手術をしなくてよくなるケースもあったとか。

糖質制限食が効果を発揮する病気は、本当にたくさんありますね。
健康な人にとっては糖質制限食は病気の予防になるということです。
これからは、病気になって治療をするのではなく、予防が一番です!

江部康二の糖質制限革命―医療、健康、食、そして社会のパラダイムシフト
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つづく

この記事を書いた人

なおこ

京都市内在住の薬剤師です。
仕事の中での気づき、想うこと、服薬ケア研究会での深い学び、糖質制限食などの食に関する学びや私なりの知見を発信しています。
好奇心旺盛、学ぶことが大好きなので、その他にもいろんなテーマで誰かのお役に立てそうな情報も発信中。