⒐日本動脈硬化学会ガイドライン2012年版の重大な問題点
ガイドライン作成委員の利益相反情報が全く表記されていない!
利益相反とは?
難しい言葉が出てきましたが、
利益相反行為 (りえきそうはんこうい)とは、ある行為により、一方の利益になると同時に、他方への不利益になる行為である。 他人の利益を図るべき立場にありながら、自己の利益を図る行為が典型的な例であり、利益を図るべき他人に対する義務違反になる場合が多い。
by wikipedia
例えば、医学研究の事例で研究者は製薬企業から研究費などの経済的支援を受けて、社会の利益の為に研究をするとします。この研究者には「個人的利益」と「社会責任」の両方が発生しますが、時にはこの2つが両立しないことがあるため、データの改ざんをする、特定企業を優遇するなどが行なわれる可能性があります。なので欧米では、ガイドライン作成者には特定企業からの経済的支援を受けていない、またはどれだけ受けているかを公表することが義務づけられました。
ところが、日本においてはコレステロールのガイドラインに関わる医師たちの利益相反について全く公表されていません。これでは、ガイドラインの信頼性は全くないと言われても仕方ありません!
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最近,利益相反について話題になったことでは「ディオバン事件」が有名ですね。参考までに。
ディオバン事件(ディオバンじけん)とは、高血圧の治療薬であるディオバン(物質名:バルサルタン)の医師主導臨床研究にノバルティス日本法人のノバルティスファーマ社の社員が統計解析者として関与した利益相反問題、および、臨床研究の結果を発表した論文のデータに問題があったとして一連の論文が撤回された事件を指す。
日本では公的資金が当てにできないため、大学や研究機関は企業から助成を受け入れざるをえない状況になっている現状を指摘する。事実、今回研究の不正が判明した5つの大学すべてにノバルティスファーマから多額の寄付が行われていたことが明らかになっている。業界から医師や医療機関に提供される資金は明らかになっているものだけでも年間4,410億円に上り、2013年度の国の科学研究費予算2,381億円を大きく上回る。この資金が、学会、勉強会、シンポジウムの運営費や宿泊費、交通費、そして原稿料などの形で医療機関や医師個人に提供されている。このような構造が、現在の製薬業界と医療の間の利益相反の根底にある。
参照:ディオバン事件と利益相反という日本の病理http://www.videonews.com/marugeki-talk/672/(2015/6/23アクセス)
このようにディオバン事件は2013年に発覚した日本最大の臨床研究不正事件で、日本の臨床研究に対する信頼を大きく失墜させました。
次回は脳卒中とコレステロールについてなど。